映画「刀剣乱舞-黎明-」を観た

 

2本立てで書いていたものを独立させたやつです

映画 刀剣乱舞-黎明-

 前作の映画刀剣乱舞-継承-が4年前らしい。今作は前作とはまた別の本丸の刀剣男士たちの物語となっていた。映画の雰囲気もだいぶ変わってきてニチアサ感が増してきていた。テイストとしては全く別のものになっていたので、前作の気持ちで行くと「あれ?」といった違和感の一つになってしまうかもしれない。

 酒呑童子の呪いが時代を超えて2012年にやってきてしまって、そこに時間遡行軍が…といったストーリーだった。いくつか描きたいテーマがあるのは見えてくるのだけれども、ストーリーの流れが散らかっているように感じた。刀剣乱舞の映画としては離れたところにある回想のシーンが中盤に挟まれるのが気になる。あれを冒頭にもう交差するみたいにして束ねて現代と過去が交差する感じにするとかどうだろうと思った…運命に流されて悲惨な目に遭ってしまう人々、その歴史をそうあれと守る側の刀剣男士、その刀剣男士を形作る刀剣に込められた人々の想いなど…「刀剣乱舞」コンテンツ中では何度か触れられているものもあるが、現代が舞台になるのだからそれに適した描き方での物語の展開が見てみたかったなと思う。

 しかし、現代にいる刀剣男士といったのはその絵面はかなり面白かったし、満足度が高い。自分が大好きなへし切長谷部はギャルと一緒に高速バスに乗るなんて、一体誰がどうして考えついたんだ…。あれだけでもっと映像が欲しい。そのギャルについても実は…といった要素があり仮の主中でもかなり異色要素の持ち主だった。ラストに秘密が明かされてもエモーショナルな気持ちになれるまでの道のりがほぼ無い。どのメインキャラクターについても描き込みが薄く感じてしまうのはそれぞれのバックグラウンドを想起させるものが多かったのにも関わらず、勿体無いんでは…。それぞれの刀剣男士と仮の主の組み合わせはどれも最高のものだったのでもっと見たい…。

 

 今回の描写で個人的に「おぉこれは大きいぞ」と思ったのは「誰にでも審神者になれる素質がある可能性」を示していたところだろう。どうしても物語のメインキャラクターと刀剣男士との表現となると特殊な状況にある人物や人数が限られる。その中で「刀剣乱舞」といったコンテンツに触れている一人ひとりのプレイヤーが既に持っている本丸の存在を示唆しているように感じプレイヤー(=審神者)までも物語の一部であるようにしたいのかと考えたりもした。(本編中でも街中の人々をまるで審神者のようだ的な発言もあった)

 現代で刀剣男士と出会って、博物館や様々な場所で刀剣と出会うといった流れはユーザーの多くが体験したことだろう。今作の主人公も三日月に出会って国立博物館へ向かう。この作品はもしかしたら主人公と現代を生きるユーザーを交えた存在にしたかったのかもしれない…。